北海道新幹線の札幌延伸,40万人以上の交流人口増加で900億円の経済効果,道北圏(ざっくり,北海道の上半分,上川,留萌,宗谷総合振興局管内)では65億円,13万人の交流人口増が見込まれる・・・とは道の説明ですが,平成18年に某銀行さんが作成された「北海道新幹線札幌延伸に向けて」などを見ますと,なかなか感慨深いものがあります。

その資料を見ますと,①各地への所要時間が短縮される,②(新幹線は)雪に強く,出発・到着時刻の遅れも少ない,③移動中の自由時間が多くなる,④移動がより快適になる,⑤大量輸送・臨時列車によって繁閑の差を吸収できる,⑥旅費が安くなる可能性がある,⑦東北からの観光増,⑧環境にやさしい,等々,新幹線の札幌延伸のメリットがあげられています。

各地への所要時間ですが,札幌~東京はだいたい4時間(青函トンネル中のスピードにもよるでしょう。)で,羽田~新千歳間を飛行機を使った方がちょっと早いそうです。これに対し,東北各地・函館と札幌との間の所要時間は大幅に短縮されそうです。ただ,道央・道南圏以外の住民にとっての交通システムとしては,

 

新幹線単体だけでなく「そこから先」がなければ,完結しません。

 

稚内などはそのさいたるものですが,北海道まで新幹線が来ること,よりも,そこから先の接続事情の方がよほど切実です。函館や札幌まで新幹線で来まして,乗り換えて,その後,道内の在来線に乗って,という利用パターンが前提になっていなければ試算として意味がありません。

その前提とする具体的な道内の旅客鉄道事情といえば。。。 新幹線が札幌まで伸びたとして,4時間新幹線に乗って,そこからさらに,一日2本のスーパー宗谷に,5時間(稚内の場合。待ち時間を含めれば気が遠くなるので,あえて触れません。),列車に乗り継いでくる利用者がどれくらいいるのか,どういう利用者が想定されているのか,謎です。いわんや,函館開業では,それで何が変わるのか,想像すらできません。「雪による運休・遅れ」について,新幹線駅まで行く(新幹線駅からの接続)列車が「雪」で運休したらどうなるんでしょうか?移動中の自由時間,札幌までの5時間ですら,もて余します。移動が快適?札幌までで,もう,ぐったりです。

安い運賃?最近,旅割●とか,結構飛行機も安いですよ。新幹線が延伸したら,ああいう割引はなくなってしまうことが想定されているとか。それに,いまのご時勢,LCCも有力な選択肢です。大量輸送・臨時列車,函館からの直通列車って,今ありましたかしら?そういえば,むしろ,昼の特急は運休してしまって,運転再開のめどすらたっていません。

東北からの旅行客,たしかに,そういう方もいらっしゃるかもしれませんねえ。 つまり,「開業(延伸)の効果」と言っても,そもそも道央・道南圏を想定しているようにしか思えず,それ以外は,「そこから先」がネックになっている現状が変わらない限り,開業効果を盛り上げる取り組み,といっても限界はあります。

日銀の金融経済概況ですが,北海道の景気は「緩やかに回復」しているそうですが,弁護士として地方経済を見ている実感とは,微妙に異なります。

公共投資とか輸出とか,個人消費とか企業投資とか,需給バランスを前提とすれば,そういう見方になるのでしょう。実際に,マクロな数字はそういう 傾向をしめしているのでしょうし。一方で,こんなニュース記事もあります。

『<企業の休廃業>中小の“隠れ倒産”10年で倍増>』

後継者難や経営の先行き懸念が主因で,東京商工リサーチによると,2013年の休廃業(解散も含む)数は2万8943件で過去10年で2倍 に急増したのだそうです。原料や資源の価格高騰が続く中,製品価格に転嫁できず,大量生産する大手の参入や新興国からの安い輸入品との競争で 利益が出なくなり,「借 金が払えるうちに事業をやめれば誰にも迷惑がかからない。」「今より状況がよくなることはない。」と事業を整理しよう という意識が働いているということです。

そして,もう一つの問題は,後継者不足。少子高齢化は,生産年齢人口(=労働人口)の脈絡で語られる ことの多い社会現象ですが,事業を次の世代に引き継ぐ企業自体が「絶滅」してしまえば,経済活動の基盤そのものが失われ,そうなってしまえ ば,並大抵のことでは「再生」できません(酪農家も,事情は同じのようです。)。

伝統的なマクロ経済的には,景気といえば需給ギャップ,生産過剰と過少需要が不景気の原因で,需要が拡大すれば景気は良くなる(需給バラン スが回復する),はずで,「概況」を見ても,各論の多くは需要項目の分析に割かれており,生産については,これまた伝統的な鉱工業生産に関 し,「国内外の需要を背景に,増加している」(結局,『需要』の話ですかね。),ということのようです。

単純に「景気」というと,需給ギャップ(過少需要)の問題だけが俎上に上がって,「需要」が増えれば経済が拡大する(確かに,そう習いましたが。),と いう中央の政策決定者のスコープの中には,地方では,むしろ「需要」(たとえば,最近,増えている外国からの観光客も,『需要』だと思います が。)にこたえる「生産」活動を支える人材が不足しており,あるいは,大企業目線で進む無秩序なグローバル化によって,事業活動による利益が 出にくくなっている厳しい経営環境があいまって,それが中小企業に依存する地方経済の疲弊を一層推し進めているのです,という絵面は,あまり 映らないようです。

もちろん,そうした心配は日銀さんのお仕事ではありませんが,「緩やかに景気が回復」と聞いて,なんとなく,問題解消,見通し良好,のように聞こえてしまいますが,さはさりながらそれとこれとは別問題なのです,回復しているのは有効需要(過少需要)の方で,「稼ぐ力」の方は,このままだと減る一方,そういうという意識を,ぜひとも政策決定の現場では持っていただきたいところではあります。

2040年に消滅する可能性の高い自治体のリスト,稚内も入っていました。市では,ここだけでなく旭川や釧路,函館,北見もリストアップされており,驚き,というよりも,今の調子で東京(道内では,札幌)一極集中を放置していたら,そうなるのは当然でしょうね。

「消滅」とありますが,その意味するところは,「地方からの人口流出が続く前提で、2040年にまでに若年女性(20─39歳)の人口が50%以上減少し,消滅する可能性がある市区町村」ということですから,つまり,若年女性の人口減少率が50%を超える自治体=消滅可能性あり,ということのようです。

「消滅の可能性」と言われますと,穏やかではありません。その「人口推計結果」ですが,もちろん,原因は何で,どういう対策が必要で,と建設的に使われれば幸いですが,そうした数字が,

 

「消滅可能性のある自治体(地方)へ財源を振り分けるのはいかがなものか」

 

という議論の根拠に,「都合よく使われる」ことがないように願うばかりです。

そうかと思ったら,政府は,「50年後も人口1億人維持」するため,高齢者に手厚い社会保障の予算を見直して財源を捻出し,子育て世代に重点配分する,政策を打ち出すようです。それはそれで結構なのですが,本来地方にあるべき人口が都市部に流出し,都市部に職場と労働力と市場と財源が集中し,それがまた人口流出に拍車をかける悪循環を断ち切る政策として,ぜひとも「目に見える成果」を出していただきたいものです。

特急で往復してしまいますと寝ている間に通り過ぎてしまいますが,たまに,普通列車などで移動すると,結構,駅(もちろん無人駅。かつては,有人でした。)がたくさんあることに気がつきます。旭川から184キロ,この駅に停車する列車は,1日5往復で,正真正銘のローカル線です。駅前には何軒か家が建っていますが,廃屋です。近くには,旧小学校跡があります。

稚内公園も桜(エゾヤマザクラ)が開花しまして,ようやく,春らしくなってきました。

何本か桜の木がありまして,そのうちの一本が,気象台が見ている桜の木です。ただ,若干,枝が込み入ってまして,厳密には,どの木の花かは不明ですが,とりあえず,その辺の木を見上げますと,花が咲いていました。ようやく,桜前線も,日本の最北端に到達です。

 

とはいえ,気温は10度の線を行ったり来たりですが,ちょっと歩くと,若干汗ばみます。

小さいシカも出てくるようになりまして,いかにものどかな風景です。これが,「シカ問題」に頭を悩ませる北海道の風景とは思えません。

 

北海道と言えば,の後に続く典型的なものと言えば,海産物とならんで酪農ですが,なんでもかんでも,

とれたて,新鮮,鮮度がいのち

とかいう話になって,旅番組など見ていますと,とにかく,とれたてであれば何でもOKみたいなコメントが多いのですが,地元の人に聞いていると,ものによっては

とれたてなんて食えたもんじゃない。2-3日たったあたりが熟成されて最高

というような話をよく聞きます。この,熟成,ですが,ものによっては,放っておいたり,というものもありますが,基本的には,つけものみたいに,手間ヒマかけて,じっくりと,が基本です。実を言うと,北海道では,この,手間ヒマかけてじっくり出来上がったものが意外に少ない中で(「鮮度」が北海道の競争力の源泉,はいいのですが,付加価値には,「手間ヒマ」を加えることが欠かせないように思われます。),酪農の世界でも,だんだん,この「手間ヒマ」「熟成」の

作品

が見られるようになってきました。

黒松内のブルーチーズと,ニセコ・フロマージュのブルーチーズです。

 

「本場ヨーロッパでは『チーズの王様』と言われるブルーチーズは,青かびと乳酸菌の力で熟成され,青カビが美しい大理石模様を描いております。」・・・黒松内ブルーチーズの説明書です。実に,秀逸です。