その資料を見ますと,①各地への所要時間が短縮される,②(新幹線は)雪に強く,出発・到着時刻の遅れも少ない,③移動中の自由時間が多くなる,④移動がより快適になる,⑤大量輸送・臨時列車によって繁閑の差を吸収できる,⑥旅費が安くなる可能性がある,⑦東北からの観光増,⑧環境にやさしい,等々,新幹線の札幌延伸のメリットがあげられています。
各地への所要時間ですが,札幌~東京はだいたい4時間(青函トンネル中のスピードにもよるでしょう。)で,羽田~新千歳間を飛行機を使った方がちょっと早いそうです。これに対し,東北各地・函館と札幌との間の所要時間は大幅に短縮されそうです。ただ,道央・道南圏以外の住民にとっての交通システムとしては,
新幹線単体だけでなく「そこから先」がなければ,完結しません。
稚内などはそのさいたるものですが,北海道まで新幹線が来ること,よりも,そこから先の接続事情の方がよほど切実です。函館や札幌まで新幹線で来まして,乗り換えて,その後,道内の在来線に乗って,という利用パターンが前提になっていなければ試算として意味がありません。
その前提とする具体的な道内の旅客鉄道事情といえば。。。 新幹線が札幌まで伸びたとして,4時間新幹線に乗って,そこからさらに,一日2本のスーパー宗谷に,5時間(稚内の場合。待ち時間を含めれば気が遠くなるので,あえて触れません。),列車に乗り継いでくる利用者がどれくらいいるのか,どういう利用者が想定されているのか,謎です。いわんや,函館開業では,それで何が変わるのか,想像すらできません。「雪による運休・遅れ」について,新幹線駅まで行く(新幹線駅からの接続)列車が「雪」で運休したらどうなるんでしょうか?移動中の自由時間,札幌までの5時間ですら,もて余します。移動が快適?札幌までで,もう,ぐったりです。
安い運賃?最近,旅割●とか,結構飛行機も安いですよ。新幹線が延伸したら,ああいう割引はなくなってしまうことが想定されているとか。それに,いまのご時勢,LCCも有力な選択肢です。大量輸送・臨時列車,函館からの直通列車って,今ありましたかしら?そういえば,むしろ,昼の特急は運休してしまって,運転再開のめどすらたっていません。
東北からの旅行客,たしかに,そういう方もいらっしゃるかもしれませんねえ。 つまり,「開業(延伸)の効果」と言っても,そもそも道央・道南圏を想定しているようにしか思えず,それ以外は,「そこから先」がネックになっている現状が変わらない限り,開業効果を盛り上げる取り組み,といっても限界はあります。