JR北海道のトラブルが相次いでいます。もちろん,整備には万全を尽くして頂きたいところですが,ただでさえ,道内の特急列車は,長距離,高速運転,しかも,冬場の過酷な運転環境,と,システムや車体に与える負荷が大きいことは自明です。 人間が作るシステムに完全なものはありません。ただ,そうしたシステムに現代人の生活は依存しているわけで,「運休します」だけでは,社会的機能を果たしたとは言えないのではないでしょうか。特に,札幌-新千歳空港や,札幌-旭川間のような利用者が多く利用者への影響が大きいところ,あるいは,旭川から道北方面のように,代替交通手段に乏しく(冬場,当地から旭川・札幌方面に車で行け,と言われると,ぞっとします。),鉄道システムの機能にその生活基盤の多くを依存している広大な地域をかかえる道内では,単純に,「運休します」ですませてもらっては,正直困るのです(札幌-函館間で高速130キロ運転に対応する車体を使った「北斗」のエンジントラブルの影響で,同型のエンジンを使っている,という理由で「サロベツ」(あれ,夕方の会合には便利なんです。)も運休ですが,「サロベツ」って,そんなに高速運転してましたっけ?)。
要は,事故が起きても困りますが,一方,サービスの提供を停止されても同じように困るので,その辺の兼ね合い,つまり,トラブルが発生した場合にも,顧客に与える影響を最小限に食い止める態勢を作って頂きたい,というのが利用者の「信頼」に応えることではないでしょうか。「安全安全」と何とかの一つ覚えのようにまくし立てる報道もどうかとおもいますが,少なくとも,記者会見開いて,頭を下げられても,それ自体は,あまり意味がないように思いますし,「止めました」で報道の方は満足なのでしょうが,利用者はそうではありません。 何かトラブルがあると,すぐに「運休です」となって移動手段が奪われたり,次の列車(飛行機)に乗れなかったりするのは,システムトラブルによって,取引先のサプライチェーンが寸断されることと同じであり,企業の社会的使命を維持する上での生命線にかかわるゆゆしき事態です。当該列車の運行をストップしても振り替え輸送を行う,当該列車を使っていた乗客(取引先)が,その後の交通機関への乗り継ぎ(業務)に支障が出ないようにすることは,ぜひとも公共交通機関としては,忘れてほしくないところです。
機能を維持するために必要なバッファーとしてきちんと経営資源を割り振る,新幹線だの,札幌周辺の高架化だの,それはそれで大事なんでしょうけど,企業としての信頼確保のために必要な経営資源を割かないのは,公共交通機関としては,異常です。 JR北海道の幹部の方には,いっぺん,首都圏の通勤時間帯に満員電車に乗って頂きたいですね。もし,JRにトラブルがあっても,地下鉄やバスに振り替え輸送が実施される,あのシステムは,是非とも取り入れてほしいところです。