要望ベースの話なのかと思っておりましたら,今日の日経電子版を見ますと,政府は,29日に決めた2013年度予算案で北海道開発に4770億円を計上,経済産業省は,風力発電の送電網を整備する事業を道北で始める予算を計上した(概算要求250億円満額。複数の民間企業が4月以降SPCをつくって風力専門の送電線を整備),とのことですので,実施に向けて動き出すようです。
確かに,北海道の北半分を日本海に沿って留萌から北上すると,小平,苫前,幌延から稚内と風力発電プラントが点在しています。たぶん,あれだけあると,電力自給率は100%を超えるだろうなと思いつつ(実際,苫前町は再生可能エネルギー自給率535%,幌延町は149%),風も立派な資源になるのであれば,これを消費地に送るインフラ整備は,是非とも実現して頂きたいところです。
しかし,同じく今日の日経の朝刊ですが,再生可能エネルギー先進国のドイツの話で,太陽光発電ですが,電力会社に義務付ける再生可能エネルギーの買取りによって,国民の負担がもう限界という話もあります。再生可能エネルギーというと,必ず,「ドイツでは」がついてまわりますが,「電気代が高くなって皆さんお困りです」という脈絡では語られていません。
八方丸く収まる,パーフェクトな解決方法,というのはなかなか見つけにくいようです。
ところで,北海道電力と四国電力は30日,平成25年3月期の通期業績予想を発表し,原発停止を受けた火力発電の稼働増と円安の影響により燃料費が増加,2社とも過去最悪の最終赤字になる見通し,ということです。アベノミクスのおかげさまで円安傾向はしばらく続きそうですし,原発稼働率がゼロであっても核燃料の冷却や維持管理は必要です。廃炉になるかどうかは知りませんが,いつ再稼働できるか見通しが立たない原子炉と核燃料が,事実上資産としての価値を失って減損,なんてことにならないように祈るばかりです。