北海道と住居表示

気がつけば,3か月もブログ更新を怠ってしまいました。田舎弁護士は,ちょっと市外に用がありますと,とたんに200キロ,300キロドライブ,1泊,2泊は普通,になり,消耗の度合いが都会の弁護士さんの比ではありません。だから,というわけではありませんが,「まあ,いいか。明日にしよう」と先延ばしにしておりましたところ,いろいろなところからコメント(お叱り)を頂くにおよび,あわてて更新している始末です。

筆者もこれで4度めの北海道の冬を迎えることとなり,だんだん,北海道的な生活風習に違和感を感じなくなってまいりました。「違和感を感じない」というのは,裏を返せば,マンネリ感にさいなまれることでもあるのですが,実のところ,北海道には,そのマンネリ感を打破する「奥の深さ」があります。

混迷を極める東京の住居表示などに比べ,札幌も旭川もそうですが,道路は直線で碁盤目状に区画整理されており,住所の表示は実にシステマティックです。「●条●丁目」に行こうと思えば,直交座標のように,北に●ブロック,西に●ブロック進み,あとは,その区画の中で,●番●号がふられている目的地を見つければ,初めてのところに行っても,大概は,たどり着くことができます。と,いうことになっています。

ただ,この「ブロック」が曲者で,信号のある大きな道路であったり,一見,ただの路地であったりしますので,行き過ぎたり,手前で曲がってしまったり,がっかりすることも珍しくありません。

が,奇怪なのは,交差点(の表示)の方です。

筆者の歩き方が特殊なのかもしれませんが,交差点とか信号を目印にして,見当をつけることが多々,あります。「●●何丁目の交差点を右に,次の信号を左折」という具合です。車にしろ,徒歩にしろ,移動ルートは道路であって,その道路と道路の交差したところが交差点,米国の例ですが,おなじみTimes Squareは, 7th Ave.と42nd St, Broadwayの交差したところ,交差点です。交差点の表示もそうなっています(実際は,こちらは●Ave,こちらは,●St,と,矢印で道路名が標示されています。)。ごく自然です。

ところが,北海道では,この,「道路と道路の交差したところが交差点」は通用しません。筆者の推測するところ,北海道的には,交差点とは,

住居表示の基準となる長方形の4つの区画(住居表示に関する法律2条でいうところの,「街区」)が一つの頂点でもって接しているところ,

です。

確かに,住居表示に関する法律2条第1号の「街区方式」では,「道路,鉄道若しくは軌道の線路その他の恒久的な施設又は河川,水路等によって区画した場合におけるその区画された地域(中略)につけられる符号(中略)及び当該街区内にある建物その他の工作物につけられる住居表示のための番号(中略)を用いて表示する方法」と定義されており,このモダンな住居表示の原則に大真面目にしたがえば,交差点だろうがなんだろうが,道路の向こう側は南1条7丁目(の街区)で,こちら側は,南1条6丁目(の街区)で,何の問題もない,ということになります。

結局,この交差点は,「南1条6丁目」なのか,「南1条7丁目」なのか,どちらなんでしょうか?

などというのは,ナンセンス,ということになりますが,ちなみに,カーナビゲーションの多くは,筆者と同様の単純,自然体思考の人間がプログラムしたのではないかと推測いたします。

「100m先,南1条6丁目,南1条7丁目を右折・・・右レーンを進んでください」

いささか,くるしそうですが,そういえば,同じ碁盤の京都,こちらの住所は,「京都市中京区河原町通(を)三条(通との交差点から,南に?御所から反対方向に?)下ル」とか,今でも使われているそうです。いささかクラッシックではありますが,とはいえ,単純というか,イメージしやすいというか,利用者にやさしい,というか,さすがは京都,長年にわたり土地の人の使用に耐えてきたという歴史的事実に裏打ちされた合理性,というか,わかりませんが,とにかく筆者には,モダンな住居表示より好感が持てます。