道内企業にとって一つの成功モデルになるのでは?

 

 

24日付けの道新に,道東の4企業・個人で作る企業グループが,ベトナムで,人口湿地を使って家畜ふん尿を浄化する処理システムを普及させる合弁会社を設立したという記事が載っていました。

 

ベトナムでは,「食糧増産に伴い養豚場の大規模化が進んでふん尿処理が追いつかず,環境汚染や悪臭,豚の伝染病拡大が問題となっている」そうですが,道内では「家畜ふん尿や畜舎からの排水を人口湿地に流し,残った有機物を湿地内の微生物などで分解する仕組み」が既に12カ所で実用化されていて,環境問題に悩むベトナムと,北海道が培ったノウハウとの出会いが問題解決と新たなビジネスチャンスを生み出した一つの例です。

 

筆者がこの記事を見て思ったのは,北海道には,あまり知られていない知見,技術,ノウハウの蓄積があり,諸外国の抱える問題の中には,こうした知見,技術,ノウハウが問題解決に役立つ可能性があること,そしてなにより,これらがうまくマッチングすれば「北海道発」の新たなビジネスになる,ということです。

 

しかも,実に「先進的」であるのは,ベトナムで設立された合弁会社は,東京や都会の大企業が設立したものではなく,道東の企業や個人や現地政府が資金を出し合って設立したものである,ということです。資本力には乏しい,しかしながら,北海道で培われたニッチな技術を持つ中小企業が,単独では難しくとも,共同して,海外でビジネス展開しうる可能性を示しています。

 

北海道は確かに豊富な農水産物や観光資源に恵まれ,農水産業や観光業は今後も基幹産業の地位を占め続けるとは思いますが,「新鮮な」とか,「手つかずの」とか,ばかりに依存していては,付加価値の高い競争力のある商品を市場に供給し生き残りを図ることは期待薄です。

 

そういう意味で,筆者は,北海道にとっての新たなビジネスモデルのあり方なり,方向性なりを示しているのではないかと思うのです。

 

毎月第4火曜日は「シカの日」です。

牧草地で,牛とシカが一緒に草を食んでいる様子を見ますと,穏やかな日常の風景,というべきか,シカ「害」というべきか,やや微妙な雰囲気ではあるのですが,客観的には,宗谷管内だけで,昨年の牧草被害が2000万円を超えるそうで(19日付日刊宗谷),結構深刻です。

ところで,筆者の家の裏庭で,変なものを見つけました。若干,てかてか,光っていることを別にすれば,奈良銘菓,「鹿のふん」そっくりです。形もそうですし,大きさから言っても,猫やらキツネではなさそうです。

冬場,雪が積もりますと,どう見ても,犬とは違う(もっと大きい,蹄がある),とはいえ,牛ではないでしょう,という足跡があったありするのですが,最近は,比較的頻繁に町中でもシカを見かけますので,車を運転する際には,要注意です。

ところで,道は,毎月第4火曜日(4火=シカ)を「シカの日」として,一般になじみの薄いエゾシカ肉を新しい食材として一般家庭で食べられるよう普及,消費拡大を推進しており,その関係で,宗谷総合振興局食堂でエゾシカメニューを提供するそうです。今月のシカの日の22日ですが,「シカかつ定食」(700円)を提供するとのことです。営業時間は午前11時30分から午後1時30分まで,職員以外も可だそうですが,午後以降は職員で混み合うので,午前中が「おすすめ」だそうです。

 

地方自治体による三セク企業の損失補償に関する最高裁判決に,ひとまず安堵

 

 

安曇野市が出資する第三セクターに関し,同市と金融機関が締結した損失補償契約は,法人に対する政府の財政援助に制限に関する法律(以下「財政援助制限法」)3条に違反し無効と判示して,補償債務支払のためにする出費の差止めを求める請求を認めた原審東京高判平成22.8.30に対し,最高裁は,口頭弁論を経ないで当該判決につき破棄自判を行いました(最一小判平成23.10.27)。その直接の理由とするところは,若干形式的なものですが,判決の「なお」書きにおいて,地方公共団体による損失補償が,財政援助制限法3条の類推解釈により直ちに無効となる場合があることを相当ではないとしており,また本判決には補足意見があり,同旨が述べられているころから,同様の地方自治体による損失補償契約に関する財政援助制限法3条の解釈論については,一応決着がついたように思われます。

 

最高裁は,「地方公共団体が法人の事業に関して当該法人の債権者との間で締結した損失補償契約について,財政援助制限法3条の規定の類推適用によって直ちに違法,無効となる場合があると解することは,公法上の規制法規としての当該規定の性質,地方自治法等における保証と損失補讃の法文上の区別を踏まえた当該規定の文書の文理,保証と損失補償’を各別に規律の対象とする財政援助制限法及び地方財政法など関係法律の立法又は改正の経緯,地方自治の本旨に沿った議会による公益性の審査の意義及び性格,同条ただし書所定の総務大臣の指定の要否を含む当該規定の適用範囲の明確性の要請等に照らすと,相当ではないというべきである。上記損失補償契約の適法性及が有効性は,地方自治法232条の2の規定の趣旨等に鑑み,当該契約の締結に係る公益上の必要性に関する当該地方公共毘体の執行機関の判断にその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったか否かによって決せられるべきものと解するのが相当」(以上,下線筆者)であるとしています。

 

当該第三セクターへの融資にかかる損失補償の経緯や意義については,補足意見に具体的に述べられているところですが,「損失補償については財政援助制限法3条の規制するところではないとした昭和29年の行政実例(昭和29年5月12日付け自丁行発第65号自治省行政課長による回答)以降,地方公共団体が金融機関と損失補鎖契約を締結し信用補完を行うことで金融機関がいわゆる第三セクターに融資するということが広く行われ,地方公共団体も金融機関もそうした行為が財政援助制限法3条の趣旨に反するという認識はなく,今日に至っていると思われる。第三セクターには様々な問題があり,抜本的改革を推進しなければならないが,平成21年法律第10号による改正において地方対政法33条の5の7第1項4号が創設され,地方公共団体が負担する必要のある損失補償に係る経費等を対象とする地方債(改革推進債)の発行が平成25年度までの時限付きで認められるなど,その改革作業も地方公共団体の金融機関に対する損失補償が財政援助制限法3条の趣旨に反するものではないことが前提となっていると考えられる。この問題の判断に当たっては,法的安定性・取引の安全とともに上記の改革作業の進捗に対し配膳することも求められているといえよう。」

 

結論として,「本件損失補償契約を締結した当時の三郷村村長の判断に,その裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったか否かは,それが「公益上必要がある場合」(地方自治法232条の2参照)に当たるか否かという観点から決せられることとなるのであり,本件では,そもそも違法であることをうかがわせる要素は特段見当たらないと思われる」としており,地場産業の活性化や雇用の創出という公益目的,公益目的達成のための民間資金導入の必要性,地方議会での議決,実際に雇用創出効果があったこと,などの事情は,大方の第三セクターには共通して存在しうるところではないかと思われますので,本件最高裁判決を前提とすれば,ひとまず,財政援助制限法3条違反と判断されるリスクは相当程度回避されうるのではないかと思います。

 

実は,原判決である前述の東京高判平成22.8.30が出たときは,既に清算,損失補償が履行されている三セク企業について,金融機関に対し不当利得返還請求(一種の過払い金?)が山のように押し寄せるのではないか,と,ひやひやしたのですが,とりあえず,常識的なところで落ち着いてくれたことで,今後の三セク処理について,リーガル面でのハードルが一つクリアーしうることになった,と,ひとまずは安堵しうるところではあります。

 

ただし,「クリアーしうる」と,もったいをつけるのは,判決は,損失補償契約が「違法,則無効」となるわけではないものの,「当該契約の締結に係る公益上の必要性に関する当該地方公共毘体の執行機関の判断にその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったか否か」,が重要,ということですので,もし,契約締結に至る過程で,裁量権の逸脱や濫用だと言われるような事情があれば別ですよ,ということです。つまり,三セク企業を整理するにあたっては,過去の設立,出資(増資)あるいは融資に至る経緯,設立目的と業務内容,実績,当該契約締結に至る地方議会での議決の状況,三セク企業の整理に関する経緯費用負担の状況,地方議会への説明,等々の事情をもう一度精査してみる必要があることになります。

 

めずらしくブログ2連発-空き家管理条例の話

 

読売新聞によりますと,「空き家の適切な管理を所有者に義務付け、撤去規定なども盛り込んだ『空き家条例』が昨年以降、埼玉県所沢市や和歌山県、松江市など9つの自治体で制定された」ということです。その9つの自治体には,道内の自治体は入ってないようですが,「昨年7月に全国で初めて制定した埼玉県所沢市は、管理不十分な所有者に適切な措置を取るよう指導や命令を行い、最終的に応じない場合は所有者名を公表する とした。同10月の施行後は、年1、2件だった自主撤去が14件に増えるなどの効果が表れ、全国約150の自治体から視察や問い合わせが相次」いでいるそうです。

 

その,先進的な所沢市条例によりますと,「空き家等」は,「空き家等 市内に所在する建物その他の工作物で、常時無人の状態にあるものをいう。」と定義されており,規制対象となる「管理不全な状態」とは,「建物その他の工作物が、老朽化若しくは台風等の自然災害により倒壊するおそれがある状態若しくは建築材等の飛散による危険な状態又は不特定者の侵入による火災若しくは犯罪が誘発されるおそれのある状態」とされています。そして,管理不全な状態にある空き家等の所有者が,市長の助言,勧告に従わないとき,あるいは,著しく管理不全の状況にある場合には,当該所有者に対し,「履行期限を定めて必要な措置を講ずるよう命ずることができる」とされ,それにも従わない場合には,当該所有者等の住所及び氏名などを公表する(ことができる)そうです。

 

空き家,といえば,道内もご多分にもれず,放置された無人家屋は多数存在しており,しかも,haunted house的なしゃれたたたずまいではなく,リアルに崩壊寸前(常識的には,既に崩壊している)の建物も数知れず,雪のシーズンになると,雪の重みで,屋根や塀が倒壊するおそれがあったり,実に危険がいっぱいです。この空き家問題,なぜか当市では借地が多く,その上に建てられた家屋の所有者が,もう歳だし,跡継ぎもいないし,家といってももう古いし,取り壊すには費用がかかるし,ということで,さっさと出て行ってしまった後に残された無人の家屋ばかり,リフォームするでも、立て替えるでもなく、あとはただ朽ち果てるのを待つのみ,のように見受けられます。

 

ただ,そういう状況なので,「命じ」ても何ごとかを期待できるとは思えず,住所・氏名を公表しても引っ越した後では実効性は疑問(住民票を真面目に移していただければともかく,そもそも居場所すらわからないのが普通。),ということで,同じものが出来ても,残念ながら,あまり効果のほどは期待できそうにありません。

 

個人の財産権もからむやっかいな話ですが,無人の空き家が放置されるのは,土地の有効利用が妨げられているということであり,国民経済的にも決して望ましいことではありません。そういえば,先の震災の際には,「がれき」も個人の資産,ということで,その処分が妨げられている,ということがニュースになりました。ご説ごもっともですが,がれきと化していたり,あるいは,管理状態について市長が助言,勧告しても従わない,などという場合には,「財産権」による保護の対象とすべきか、疑問がないわけではありません。

 

とはいえ,この問題,根底には,撤去や補修工事等の「強硬手段」に出た場合の費用の問題と,万一所有者から訴訟を起こされた場合の訴訟リスクという問題があり,行政に,文字通り,「ブルドーザーのような実行力」を期待(要求)するのはちょっと気の毒なのかもしれません。

 

 

ロシアビジネスセミナーご参加のお礼

 

 

先日(11月4日)は,ご多忙中のところ,札幌商工会議所、NPO法人ロシア極東研、公益社団法人北海道国際交流・協力総合センター(旧(社)北方圏センター)の共同開催によります「ロシアビジネスセミナー」に多数の皆様のご参加を頂きまして,厚く御礼申し上げます。時間の関係上,細かい論点まで深く掘り下げてご説明申し上げることができませんでしたこと,あるいは,ロシアにおける知的財産権の保護のための法制度の状況(先般の報道では,ロシアのWTO加盟がほぼ確実な情勢になったとのことでございます。)や具体的な対応方法など,Up-to-Dateなお話をする余裕がございませんでしたことが心残りでありますが,機会があれば,そのような内容にも踏み込んだテーマを設定したセミナーも開催できればと考えております。

 

ロシア市場に対しては,未だに,ある種の警戒心(貿易取引にしても,本当に確実に代金を回収できるのか,あるいは,かつての,日ロ合弁のホテル事業などのように,事業がうまくいったところで乗っ取られてしまうのではないかとの不安,等々)をお持ちの企業は多く,過去の不幸な経緯や,司法制度を含む法制度やその運営,契約当事者や関係機関,等々に関する圧倒的な情報不足等を考えますと,確かに致し方のない面もございます。しかしながら,最近のロシア国内の法整備の進展や国際取引の分野で培われてきたノウハウを駆使することによって,その多くが適切にリスク管理をすれば克服しうる「過去の」ものとなったこともまた一方の現実であり,過度に(不必要に)神経質になることは,北海道のみならず日本経済全体にとっても,決して歓迎すべきことではありません。

 

当事務所では,取引関係,企業再編・買収その他の経営上の法律問題の解決はもちろん,東京,札幌を結ぶ法律事務所,外国法専門家のネットワークを通じて,海外進出を含む道内企業のさらなる事業展開を積極的にサポートしてまいります。

 

今後とも,地域の皆様方との信頼関係を大切に,地域の期待と信頼にお応えすべく,業務に精励してまいる所存ですので,何卒ご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

平成23年11月 北の杜法律事務所 弁護士 古井健司